転職や退職を考えている方にとって、失業手当(失業保険)は重要なサポートです。しかし、その制度を正しく理解していないと、受け取れるはずの手当をもらえなかったり、思っていたより少ない金額で生活が苦しくなったりすることがあります。
この記事では、20〜30代の皆さんに向けて、意外と知られていない失業手当の仕組みや、その落とし穴について詳しく解説していきます。知っているだけで将来の選択肢が広がるかもしれませんので、しっかりチェックしていきましょう。
1. 失業手当とは?
失業手当は、会社を辞めた後の生活を支えるために国が提供している雇用保険制度の一部です。正式には「基本手当」と呼ばれ、失業中に次の仕事を探しながら、一定の期間にわたってお金を受け取ることができます。生活のための重要なサポートですが、受け取るにはいくつかの条件があり、それを満たしていなければ手当を受け取ることができません。
2. 受給資格のポイント
失業手当を受け取るためには、まず「雇用保険に加入していた期間」が重要なポイントです。一定の条件を満たしていなければ、たとえ仕事を辞めたとしても手当を受け取ることができません。以下が、受給資格のポイントです。
- 雇用保険の加入期間が12か月以上あること
直近2年間の間に、雇用保険に加入していた期間がトータルで12か月以上ある場合、失業手当を受け取ることができます。ただし、自己都合で退職した場合はこの期間がカギになります。 - 「失業の状態」にあること
ただ仕事を辞めただけでは失業手当は受け取れません。失業手当を受け取るためには「働く意思と能力があり、求職活動をしている状態」でなければなりません。つまり、「休みたいからしばらく失業手当をもらおう」というようなスタンスでは受け取れませんので注意が必要です。
3. 失業手当の金額の計算方法

失業手当の金額は、前職の給与や労働日数を基に計算されます。そのため、人によって金額に違いがあるのが特徴です。具体的な計算方法を見ていきましょう。
- 賃金日額の計算
まず、失業手当の基礎となるのが「賃金日額」です。これは、退職前の6か月間の給与を基にして1日あたりの平均額を算出したものです。具体的には、退職前の6か月間の総賃金を180で割ることで賃金日額が求められます。 - 基本手当日額の計算
賃金日額に対して、年齢や賃金水準に応じて一定の割合がかけられ、その結果が基本手当日額となります。一般的には、賃金日額の50%〜80%の範囲内で支給されますが、上限額や下限額があるため、具体的な金額は各自で確認する必要があります。 - 支給される期間の計算
失業手当を受け取ることができる期間は、退職理由や年齢、雇用保険の加入期間によって異なります。自己都合退職の場合、加入期間が10年未満であれば90日、10年以上であれば120日というように、加入期間が長ければ長いほど支給日数が増えます。
4. 受給までの流れと注意点
失業手当の受給には、いくつかのステップを踏む必要があります。まずは、ハローワークに行き、失業の手続きを行いましょう。以下がその流れです。
- 退職後すぐにハローワークに行く
失業手当の申請は、退職後なるべく早くハローワークに行って手続きを行うことが大切です。申請が遅れると、受給開始も遅れてしまうため、迅速な行動が求められます。 - 離職票を提出する
ハローワークで手続きする際に、会社からもらった「離職票」が必要です。この書類がないと手続きができないため、会社に必ず発行してもらいましょう。 - 雇用保険説明会に参加する
手続きを進めるためには、ハローワークで行われる雇用保険説明会に参加する必要があります。この説明会に出席することで、手続きの流れや注意点を詳しく理解できます。 - 求職活動を行う
失業手当を受給するためには、実際に仕事を探している証拠として、求職活動を行わなければなりません。求職活動をしない場合、手当が打ち切られてしまう可能性があるため注意が必要です。
5. 知っておくべき「待機期間」と「給付制限期間」
失業手当を申請したからといって、すぐにお金が受け取れるわけではありません。実際には、以下の2つの期間に気をつける必要があります。
- 待機期間
失業手当の申請後、最初の7日間は「待機期間」となり、この間は手当が支給されません。どんなに急いでいても、この期間は避けることができないので、心の準備をしておきましょう。 - 給付制限期間
自己都合で退職した場合、待機期間が終わってからさらに「給付制限期間」があります。通常、この期間は3か月です。この間は手当が支給されないため、貯金などで生活費をカバーする必要があります。給付制限期間があることを知らずに、退職直後から手当を当てにしてしまうと、思わぬ経済的困難に直面することがあります。
6. 失業手当の「落とし穴」事例

失業手当には、いくつかの「落とし穴」が存在します。これを知らずにいると、せっかくの手当をもらい損ねたり、受給額が減ってしまうこともあります。以下は、よくあるケースです。
- 再就職が決まったのに受給し続けてしまう
失業手当は「失業の状態」であることが前提です。そのため、再就職が決まった後に手当を受け取ってしまうと、不正受給と見なされ、罰則が科されることがあります。再就職が決まった場合は、すぐにハローワークに報告しましょう。 - アルバイトやパートで収入がある場合の申告忘れ
失業手当を受け取っている間に、アルバイトやパートで収入がある場合、その収入をハローワークに申告しなければなりません。申告を怠ると、不正受給とされる可能性がありますので注意しましょう。 - 求職活動を怠る
失業手当を受け取るためには、一定の頻度で求職活動を行い、その証拠を提出する必要があります。求職活動を行わずに手当を受け取り続けると、不正受給とされるリスクがありますので、求職活動をしっかり行うことが大切です。
7. 知識を持って失業手当を賢く活用するために
失業手当は、次の仕事に就くまでの生活を支える重要な制度ですが、その受給条件や制約を正しく理解しておくことが大切です。知らないままでいると、せっかく受け取れる手当を逃してしまったり、思わぬトラブルに巻き込まれることもあります。
退職を考えている方は、まずは自分が失業手当の受給資格を満たしているかどうかを確認し、必要な手続きを速やかに行いましょう。また、給付制限期間や待機期間があることを踏まえて、計画的に生活設計を立てることも忘れずに。
まとめ
失業手当は、転職や退職後の生活を支える大切な制度です。しかし、その仕組みや条件を知らないと、思わぬ「落とし穴」に落ちてしまうことがあります。受給資格の確認、手続きの準備、求職活動の進め方など、知識を持ってしっかりと対応することで、安心して次のステップに進むことができます。
自分に必要なサポートをしっかり受け、前向きに新しいキャリアをスタートさせましょう!